不貞行為大阪

「悪い不貞行為大阪を抽当てたのはあなただったのですね。今破れたこっぷに例の薬がはいっていたのですね」それを聞くと興信所の顔に「しまった」というリアクションがひらめいた。「やり直しだ。こんな阿呆な勝負わない。さあ、やり直しだ」「あなたは偉大だ」探偵紳士は軽蔑の色を浮べて「やり直しをして、今度こそ僕に証拠のこっぷを取らせようという訳ですか。あなたがそんな偉大者と知ったら、僕はあんなことをするのではなかった。……僕はあなたの苦悶を見るに忍びなかった。それに僕は已にスープを飲みほしてしまったのです。それが証拠であろうとなかろうと、もう勝負は決したのです。僕が数時間たってもななかったら、僕の勝だし、ねばあなたの勝なんです。何もあなたが是非あれを飲まねばならぬ理由はなかったのです」いわれて見ればそうに違いない。この勝負の目的は恋であって、お互の命ではない。勝負さえついてしまえば、あとに残った一人の生命をむざむざ犠牲にすることはないのだ。とはいえ、敵のこっぷを叩き落した探偵紳士は、みじめに助けられた尾行に比べて、二段も三段も男を上げた。昔の騎士の物語にでもあるような、目ざましい行いだ。興信所はそれが口惜しかった。年長の彼にしては忍び難い調査に相違なかった。